900910

三題噺;なかいきいち、ふにくりふにくら、愛と哀しみのボレロ

月曜日の Paris は如何ともしがたい。

【RER】で出向いた オルセー美術館まで休んでいるありさまだ (我々は休館日のヴェルサイユ宮殿を訪問するという快挙を成し遂げたばかりだった)。 しかし、よく考えてみたら、日本だってそうだよなぁ、と気づく。すまない、Parisよ。 続いて寄ったオランジェリ美術館も 直に閉館らしい。

ならば、 前日行き損なったエッフェル塔に行こう。

【RER】 Invalides → Cham de Mars 、アッという間だ。 だけど昨日は何処でどう間違えちゃったんだろう。 なんで、塔を目指して歩いていたのが、“ブローニュの森縦断の旅”になってしまったのか? 永遠の謎かもしれない (自分の方向音痴を棚上げらしい)。

アンヴァリッドはナポレオンのお墓。 周囲を軽く沿うようにして歩いてみる。 全体像がイメージできないほど、デカい。

まるで 『サンロレンツォの夜』 にでてくる美少女のような

エッフェル塔というと、中井貴一に思いを馳せる。 最上段まで、エレヴェーターでも上がれる。しかし…高い。 階段利用組ならもっと安くなる…とはいいじょうさすがにその度胸はない。 珍しく素直に文明の利器の恩恵をこうむることにする。 ああ、もっと足腰を鍛えねば、と反省する (どうして?!)。

エレヴェータはかなり広いが、イタリア人観光客の団体と乗り合わせたらそれもすっかり埋まってしまった。 エレヴェータひとつ乗るのに、何でいちいちあんなにウルサイ(笑)のか。やたら楽しげ。 私たちのすぐ横では、二人の老女が一人の少女を愛おしそうに、守るように腕で囲んでいる (何からかというと、どうやら我々からだった…らしい…)。 7〜8才くらいであろうか、大きく見開かれた瞳をもった、これがトンデモナイ美少女であった。 おババ達は、大事で大事で仕方ないというように、また壊れモノを扱うようにそっと包み込むようにして、 その華奢な、だけれどすでに未熟な艶を放ちつつある小さな躯を両手で引き寄せている。 その尋常でない美しさに見惚れながら思う。

“侮れない、さすがイタリア娘(バンビーナ)…”

あまりの大群にうへぇ、と圧倒される。 エレヴェータは上昇し始める。 その途端。 文字通り、 ト・タ・ン、にそれは始まった。 あまりの凄さに息をすることすら忘れてしまう。 点になった眼が戻らない。 ショックで隣の友人の様子を窺う余裕さえありはしない。 ……まだソレは続いている。クライマックスだ。 きっと、エレヴェータが止まるまで続くのだろう。参加してないのは私達ふたりだけだ。 何に?

『 フニクリ フニクラ 』の大合唱にだよっっっっ!!!

恐るべし、イタリア人。

頭に浮ぶは 『 PASSENGER 』 のジャケット写真

遥か彼方に今にも消えそうにサクレクール寺院が見える。 頭に浮ぶ文字は、 THE ROOSTERZ 。まるでパブロフの犬だね、こりゃ。

巨大すぎるアンヴァリッドの向うにブローニュの森がある。 よくもあんなものの端から端へと歩いたものだ。感心する。 だいち、ここから眺めてもあんなに大きい。呆れてしまう。

おぉ、カルチェラタンがあそこに。 その先には黒く縦に長い モンパルナス・タワーが建っている。

妙に周りから “浮いて”いる気がしないでもない。

凱旋門がマッチ箱みたい。 映画 『愛と哀しみのボレロ』 のラストシーン、 オーケストラを指揮する ダニエル・オブリフスキ演じるカールは この屋上で振っていたんだっけ?? __これが、Paris滞在中 ずっと二人を悩ませつづけた疑問であった

(確かに他にも考えるべきことは一杯あったとは思うけど。 仕方ないではないか、 気になってしようがなかったのだから、コレが)。

うっすらとした可愛い緑色したひとかけら。 あれは多分、JIM のいるペール・ラシェーズだろう。

イタリア人たちは楽しそうに記念写真を撮りあってる。

風が吹いている。 ここは、エッフェル塔の最上段だ。

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エッフェル塔 入場量 FF 47 エレベータ代込み

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