900908

人はそれを体育館とよぶ

漫ろ歩きで入りこんだ思いがけないヒットであった Rue de Seine という通りを過ぎると、 もうそこはルーブルとなる。 アプローチとなる橋はなんだか他の橋と趣が違う (どうでもいいけど、パリも橋が多いです)。 わざとなんすかね。橋が木で出来ているんですよね、地面というか床の部分が。 中央あたりにはベンチも置かれている。 つまり橋、輸送設備?ではなく、ルーブルの一部であって 文字通りここから (もうすでに) ルーブルへのアプローチは始まっているのでしょう。

あの。有名すぎる例の透明なピラミッド。 ここが入口。 今まで説明を聞いても いまいちピンとこなかった私だけれど、 自分が入ってみてやっとその (入口としての) 仕組の理屈に納得できた (情ない) 。

な〜る…まさか地下があのように整備された空間として機能しているとは思ってもいなかった (まるでホワイティ梅田くらい開けてます)。 さて。そのピラミをくぐるようにしてエスカレーターで下へおりましょう。 はたしてそこは巨大なロビー。チケット売場もここにある。さあ、ひとまず券を買いましょう。

ルーブル美術館は大きく3つほどの館に別れていて、地下から入口はそれぞれにある。 どこから選択しようと自由。 どちらにしても、そうやって入場した先にある建物が結局、 おなじみの (地上に見える) ルーブルのソレになってるんですね。 もちろん、各館の間の行き来が可能なのはいうまでもありません。

が、巨大迷路と化しているので、 下手をすると二度と同じ場所に戻れない危険性はひっじょーに大きい。それは、心して欲しい。 “一期一会”という言葉をまず胸に刻み込む必要があると思われる。 コレと思ったモノは、その姿が視界から消えないうちにカバーしないと、 “また後で”と思ったら最期、迷宮のなかで彷徨い歩く羽目になるかもしれない。 わたしは迷いたいの!、というなら話は別だが。 されど人生は有限である以上、悪戯に時を浪費するのも如何であろうか。

さて。ピラミの下へ戻ろう。そこは結構な人だかり。 館内の無料でもらえる簡単な見取り図には、日本語 ver. もあるのでご安心を。 先にあげた各館を代表する目玉、というものがあって__ サモトラケのニケ像 (大好きっす。かっちょいい) 、ミロのヴィーナス、そして瀕死の奴隷、 というのが三大彫刻とのこと。 あくまで、あくまで個人的な意見ながら、 3つ目に関しては、正直何故これがそんな名作なのか皆目判らないまま。 見たことすら自信が持てないほどに印象が薄いのですね、ははは(弱気)。

あの、 『モナリザ』 はガラスケースの中。“はぁっ?”というくらい小さな絵。 何故にここまでしなきゃいけないんでしょう?この絵に?!(暴言かも) __まあ、どうだっていいんですけど、別に。

ただ、基本的に?こちらの美術館はロープも張っていないし、 写真撮影もフラッシュをたかなきゃオッケーのところが多いようですね。 もちろん、例外もありますが。

彫像が並ぶフロアの一角で 窓からオレンジ色の夕陽の差し込むなか、独り佇む青年ありき。 四、五体と連なったその像の前にしゃがみこみ 前方に伸ばし差し出した先で両の手を組んでいる。 そしてじっとどこかを静かに見つめている。 フロアには彼と彫像の影がひとつに混じり合い長くのびていた。 その全ての理由を知るは、無言で彼を囲む石像たちのみかもしれぬ (単に歩き疲れかも。でも絵になっていたでやんす)。

ミロのヴィーナスは、
“ふぅ〜ん。へぇ〜(だからといってねぇ〜)”
という感じです、個人的な意見ですけど(オイオイ)。

ただ。当然の話なんですが。 立体作品は見る角度によって、ほんっっとに印象は変わります。 だから、言い換えれば。 世間一般で認知されている定番の角度とですね、 自分の好きなそれが必ずしも一致するとは限らないということなんですよね。

加えて思ったことは。 なら、作者の視点が美の観点からいうとドコに設定されていたのか不明? (ではないと思うのですが、絶対。本当は) というのも不思議ですよね。 別に正面からとは限らないし (もしかして、正面と決められてるのか?だったらどうしよう…)。 もとより、そんな基準になるアングルなんて不必要だったのでしょうか。 要はどのようなアングルに最上の美を見出すかというのは、 見る者の内にあるものの反映にすぎない、ってことなんすかね。 よ〜わかりません (投げやりな結論だ)。

四時間近く歩きずめ、消化不良を起こしそうな程、展示を見た気がしたのも束の間。 退場後、立ち寄った (同じく地下に併設されています。ここも凄い混雑していた) ミュージアムグッズの売場に置かれている見覚えのない!!ポストカードの数々に、 内心気分は(それこそ)ムンクの叫び。 見残している部屋が相当にありそうな事に気がつき倒れそうになる。

いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ〜〜〜〜〜!!!!

唯一確信した事。 大英博物館の時も薄々感じていたけれど…… 美術館鑑賞に一番必要なのは“体力”、これです。 極論するなら、唯一無比、他には何もいらん。 生半可なディレッタンティズムなんて邪魔、百害あって一利無し。

嘘じゃねぇっす。マジで。

萎えかけた気持ちをなんとか持ち直し 地上へ出ると。

いつのまにやら。 先に続くチュイルリー公園の木々を オレンジの輪郭がなぞっているでは。

そんななか、 せっかくだから凱旋門まで行こう、 とまた歩き始めた私たちっていったい何者? だいいち何がせっかくだったのだろうか。 今となっては永遠の謎であるが。

MUSEE DU LOUVRE
またの名を るーぶる体育館 と人はいう (らしい) 。

えっと。 そういや、ここでは珍しくガイド付き日本からの観光客のツアーには遭遇しなかったかも。 あらま。

petty cashbook
チケット FF 27 ルーブル美術館
ポストカード FF 7 館内売店 2枚 @ FF3.5

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