900918

濃密な果実

Museo Nacional del Prado__プラド美術館

ゴヤとベラスケスは各々その“間(ま)”を持っている。 二大巨頭というやつですね。 あと、エル・グレコやルーベンスも充実している。 ラッファエッロやボッティチェッリが現れるとさすがにびっくりする。 フラ・アンジェリコの 『受胎告知』 も展示されているが (サンマルコ美術館の別 Ver.)  わたしは同じくここに飾られているグレコのそれのほうが断然好きだ。 林真理子氏がいうように、マリアがなんともすっとぼけていて どっか他人事めいた顔なんだよね。 グレコはけっこうよかった、あくまで個人的にはですが。 ベラスケスはもとよりあまり好きではないのに、 こう物量作戦?で迫られると最後は逃げ出したくなる (贅沢な話かも)。 どうでもいいけど、彼の描く肖像画はみな同んなじ顔してて笑える。 自己主張の激しい人、って言うかんじ。

ゴヤは嫌いじゃなかったし、楽しみに実はしていたのだけれど。 結構ショックなことが解ってしまった。 つまり、彼はよい絵ももちろんたくさんあるが 結構つまらない絵もたくさん描いているということだ。

好きな絵はたくさんある、もちろん。 あの、ナポレオン軍?に立ち向かう農民?の絵。 ナマでこれを見られる日がくるなんて思いもしなかった。 農民が秋の収穫を喜んでいるような作品とか…。 このモチーフというか、一連の農民シリーズ?があったのだけど これ以外は個人的にはおもしろくなかった。 我が子を喰らうサルチュルヌだっけ?、有名ですね、これは。 ちなみに、この絵はゴヤの家の食堂の壁に描かれていたもんらしい。 他にも何枚かゴヤの家の壁に描かれていた作品が、 一階にある“ゴヤの間”のひとつにまとめて展示されていた (これらは壁ごとくりぬかれているとのことだった)。

ガイドさん ありがとう

何故こんなこみいったことを知っているのかというと。 どっかのツアーのガイドがそう説明していたからです。 そう、またもやひっつき虫と化していたのでした。 ちなみに壁画シリーズのあと二枚ほど (あくまでわたしにとってですが) 凄くよいのがあってとても嬉しかった。 しかし、つまんないと感じるものも多い。 これは後で__またしても館内では別行動をとっていたため__ 感想を話し合ったときに 友人も同様に口にしていたことだった。

ちなみにわたしの一番好きなゴヤは、『黒衣のマヤ』 …“マッハ”というべきかも?、であるけれど。 この絵が何処の美術館所蔵であるかは知らないです。 なお、彼も当時の画家のごたぶんにもれず 金持ち (貴族?) のお抱えというか 専属絵師を務めていたように推測してしまいましたが… (事実誤認だったら申し訳ない)。 一連の“家族の肖像”コーナーがある。 しかし、今ひとつ手を抜いているように見えるのは、気のせいだろう… たぶん…いや、きっと……

とりあえず 濃いスペイン絵画

ルーベンスは、もうわかった、わかったからやめてくれ〜ぃ、の世界 (って一言で済ませていいのか??)。 あそこまで善意の塊のような宗教画をみせられるのはいっしゅ拷問に近い。 (案外、画家は深い絶望と葛藤型の内面だったりするのかもしれんが) 反対に、先もいったように、 グレコはもともと得意ではなかったにも関わらず 何点か魅かれるものがあったけれど。

しかし。 スペイン人の描く絵はどれも重苦しくて息苦しくなってしまう。 そして宗教画が多く、
“もういいよ。よ〜くわかった。でももう解放してよ〜”
という気になってしまう。 また、静物画までが妙に艶めかしく “爛熟”としかいいようのないものになってしまうのには笑う。 笑えるといえば、モナリザのコピー?があったのには、もう…。

…さほど有名な作品でもないと思われるが なにかやたらと眼があってしまう御仁がいた。 そのフロアで他の作品を見ていても、 何かふと思って振りかえると、そこには必ず 『彼』 が、 それもかっこつけまくり?のそのお方がいらっしゃるのだった。 おかげで?そのフロアにいるときの落ち着かないこと甚だしかった (何照れてんだ、こっちも)。 誰が描いた、誰の肖像画かもわからない。 ただ、ジョン・ローンによく似ていたのはポイント高かったですな。

でもって 密度も濃い。結構好きな美術館かも

館内は3-4時間かけてゆっくりと見て回ることができた。 が、とにかく、またしても?部屋が一杯に枝分かれしているので 何処へ続くかが (つまり順路が) 解らなくなってしまう。 迷路の世界、再び。これには参りました。

さて、夕方ともなると 一階の広々とした通り抜け?のフロアには傾き始めた陽が差しこんでくる。 あたりをオレンジ色に染めるそのさまはなかなかいとおかし、だったりする。

見ると、ところどころに フロア内の説明書のような鑑賞の手引き風のリーフレットが置かれている。 手にとろうと思ったけれど、 お金が必要とわかり 見送る (こころざし?を備え付けの箱に入れるようだった)。

最後に。 たぶん 日本語ガイド付きツアーの団体が一番多かったのは実はココだった、 それもぶっちぎりで。

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チケット 400 pts Museo Nacional del Prado

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