900905

実録 ・『 僕の  店は戦場だった 』

Fotnum & Mason _

シックな (現代仏語に於いては誉め言葉としては用いない表現らしいが) 外観。 歴史を感じさせる佇まい。 感慨深く店内に一歩足を踏み入れる_と、

そこは戦場、もしくはバーゲン会場だった。

な、何なん、コレっていったい?!_ が、そこに有象無象よろしく蠢く殆ど全ての者たちと同じ日本人の自分が 云っても説得力はないのだろうな (あるとは 思えん)。

しかし、凄い。 日本で購入するとバカみたいな金額になる為とはいえ…凄すぎる、コワイ…。 中には、旅慣れたフリ?をしたいのか、 この光景に負けて呆然としているふたりに (頼みもしないのに) ウンチク傾けるオヤジもいる。

“慣れないキミたちに良いことを教えてあげよう”
と VAT のシステムについてもっともらしく語るそのオヤジ。 素直にそれを信じこんだら…精算時、スタッフの人に言われたぞ、おいっっ!

『 それはお客様の場合残念ながら使えません (訳・なにわけのわからんことをいってんの? 頼むからこのクソ忙しい時にそんなトンチンカンなこと云わんでくれ) 』 、ってね。

精算のカウンターに。 金髪の、少しほっぺたのふっくらした “男の子”という表現が (いい意味で) ぴったりする男性がいた。 おぼっちゃま風のこのヒトは、しかし一時も休む間もなく電卓を叩き、 怒りの為か頬を紅潮させつつも懸命にそれを“出すまい”と必死だった。 もう、キレる寸前なのは一目瞭然。 が、鍛えぬかれた (それも一流店の) 接客のプロの誠実さでもって 優雅に対応しようと (自らに) 言い聞かせているよう。 その様は 気の毒に思いつつ、申し訳ないけど あまりの健気さで笑ってしまうほどだった。

(実は)私たちの時も、 すこしばかりややこしい申し出になってしまった。

はじめ、話がよく見えなかった彼は、 ヒクヒクしてほっぺを赤く染めつつも “マダム”という敬称を忘れることなく、 全ての要求を聞き入れるべく段取りしてくれた (※ この場合年齢とは関係なく、 マダム、となるので。念の為)。

ある種、感動的、ですらあった。

が、店内を埋め尽くした日本人の殆どは 彼の葛藤になど気もとめていなかった。
………合掌。
ちなみに ワタシは ジャスミン茶を1缶買いました。

petty cashbook
ジャスミンティ £ 2.55 フォトナム・メイソン 本店 (ピカデリー)

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