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影がもどる日

さっきまでは全く気がつかなかったのだが
いまみると 私の影が戻ってきていた
影がいなくなってから だいぶんと経ったような気もするが
それが何時かを 厳密に思い出す意味はないだろう

真夏の白いひざしのもとで
私の影が 私の動きを思い出そうとしている
あまりに久しぶりなので いささか戸惑っているらしい
時にいくぶん遅れ気味になり 時にあわてて先走りする

ああ 君が帰ってくるなんて思っていなかったよ
君はきっと教えてくれることはないだろう
どうして再び私の影に戻ることにしたかなんて

きっとたくさんのところを旅してきたんだろう
君はすこし土ぼこりつけて
おまけに何処か知らない国の風を吹かせてさえいる

その頭に巻いているものはなんだい
ほのかに香るその薫りは何処でさらってきたんだい
月夜にキャラバンが君とともに旅しているのが見える

今晩はおあつらえむきの満月だ
夜は長い 話して聞かせておくれ 君の今日までを
そして君が訪れたに違いないあの砂漠の地を
懐かしいあのただ広い砂漠に咲く薔薇を
あの 遠い何時かに私が生まれた砂漠へ誘っておくれ

君がいくぶん私の先に映っているのは気がついてるが
影をなくした生活にも飽きてきたんだと 私はつぶやく
悪いけれど 影をつれて歩くことにしたのだ これからは