わたしは 夜を愛す
漆黒の天鷺絨にくるまれて
暗黒に 身をはべらす
うつろいゆく雲よ 歌をうたへ
夜にわたしは蘇生する
砂に溶けた宮殿へも 翔べる
そこには 夜の色した髪もつ王女さまが
いまも 孤とりで 佇んでいる
物憂げな夜の色した瞳は何処を見つめる
しばし 王女さまの話相手となれば
砂の地平線に 流星雨が降りそそぐ
それでは 王女さま
一夜の宿の御礼です
遥か遥か遠い異国の物語などを
果てしなく続く闇の中で
底なし沼の虚空のなかで
すべては ただ一瞬の戯事でしかなく
星が瞬きひとつする間に
わたしは 何処からか現れいで
わたしは 何処かへと 消える
そして だけれど 夜はつづく
夜は 終わらない
わたしは 夜を愛す
星座の想いに ゆっくりとつつまれて
鎖から さあ 解き放たれよう
千里眼の風よ 教えておくれ
おまえは 何を見ている
嵐が 訪れても 気にはしない
雷が 地に光走らせても 動じはしない
わたしは ここで 見つめつづけているだけ
見晴らしのよい部屋からずっと
窓のそとを みわたしている
はじまりとおわりを ここで眺めている
うつろいゆく 時の流れに 楔うちこむ要はない
すべて 楼上の御伽話
それは砂のうえに建つ