うんざりする
さっきからこのラヂオは 雑音がひどすぎる
あまりにひどくて 何も聞きとれない
あまりにカンに触るので 何も他に聞こえないよ
ああ、それでなんだっけ
そうだ、そのとおりだ――
だからといってきみは
じぶんの耳元に拳銃つきつけることも できない
じぶんが蜂の巣にされてる姿を想像して
その甘美さとやらに酔う無責任さはあっても
それを現実として受け止める度胸なんて ひとつもない
じぶんが緩やかに廃人に近づいてゆくのも できない
ましてや
皺だらけのパジャマで街を歩けもしない
それは臆病なきみの人生とはまた違う人生だ
でも それはそれだけのことだ
できぬじぶんを嘲ることはしても
できた誰かを決して妬みはしない
多くのものが自らの無意識に蓋をして
できた誰かを羨み攻撃するだろうが
それには絶対加わらない
それが臆病なきみの せめてもの矜持というやつなんだろう
そうだ 全ては最低だ
うんざりすぎて もう 反吐すらでない
そして きみもまた 最低だ
そうだ 全ては最悪だ
きみは 結局 ここで いつか静かに果ててゆく
けれど 本当は ちゃんと解っているはずだ
だからこそ きみは唄うことを選んだんだよ
消滅できないじぶんの また来る明日のために
終わりにできないことを選んだきみは
また 今夜も月にてらされて眠る
終わらない日々をひきうけたきみの朝が また明日もくる